患者さんに、ここまで聞くの?

前職は病棟勤務で、主に内科と整形、小児病棟を担当していました。子どもの小学校入学を控え、自宅から近い場所で働きたいと2年前に寿都診療所に入職しました。診療所へ行くことを告げたら、周りからは「若いのにもったいない」と言われました。だから、ここに来る前は「そんなに忙しくないんだろうな」と思っていたんです。ところが実際には病棟に加えて、外来もあれば、救急もある。退院後の在宅の調整もあって、覚えることがいっぱい。イメージとはかなり違いましたね。

ただ忙しくても、子どもが急に熱を出して休むとなったら快く受け入れてくれるし、「今の時期は子どもとの時間を大切にした方がいい」と勤務の調整も気にかけてくださいます。家庭と仕事の両立を考えてこちらに来ましたが、現在は負担を感じることなく仕事ができています。

診療所で一番違いを感じたのは、患者さんやご家族との関わり方です。前職では治療優先で、一日も早く退院できるよう患者さんを支援するのが私たちの務めであって、退院後の生活まで考えることはありませんでした。だからここに来たときは、患者さんの家族が何人いて、どこに住み、どんな仕事に携わっているのかを確認するのを見て、「ここまで聞くの?」と正直驚きました。でも、退院後の暮らしをどう成り立たせるのかを考えたら、支えるご家族について把握することは当然なんですよね。

お看取りも何度か経験しましたが、「最後にここ(寿都)で看取ることができて良かった」とご家族から言われることがすごく多いんで。たとえば数時間でも家に帰りたいという終末期の患者さんの願いに、なんとか応えようと多職種全員で連携して動く姿は、私もそこに携わりながら、すごいと感じます。いまでは近隣町村の訪問診療や救急の受け入れも数多くあり、寿都診療所が地域に本当に必要とされているなと実感しています。

先生との距離が、考えられないぐらい近いんです。

先生(医師)との距離の近さも、こちらに来てびっくりしたことです。看護師が医師に対して意見を言うなんてこれまで考えたこともなかったけれど、こちらの先生方はすごく看護師の意見を聞いてくださるし、患者さんのことで悩んでいるときは、真剣に向き合って知恵を絞ってくれます。カンファレンスも充実していて、ときには診療方針をめぐって先生とぶつかることもありますが、患者さんご本人のQOLを本当に大事にしながら診療に当たっていると、いつも感じています。

看護部主催の勉強会をはじめ、学びの機会も多くあります。先生たちも勉強会には積極的に協力してくださり、惜しげもなく病気のことを教えてくださいます。また、資格取得や参加したい外部の研修があれば、組織全体で背中を押してくれるので、新しいことを吸収したい人にはぴったりな環境だと思います。研修で学んだことを先輩が診療所に持ち帰ってくださるので勉強になります。私自身は終末期ケアや認知症患者さんのケアについてもっと深めたいと思い、資格取得を目指して勉強中です。

プロフィール

德田 恵
看護師
寿都町立寿都診療所

寿都町出身。看護師8年目。総合病院の病棟勤務を経験し、2019年4月より寿都診療所。

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