家庭医のもとで働く幸せ。

訪問看護師の仕事は、利用者さんの意向に沿いながら、療養と生活両方を支えていく看護となるため、病院の様に患者さんを管理して行う治療優先の看護とは少し異なってきます。
利用者さんが安心しておうちで過ごせるように、私たちは医療的なケアだけでなく、生活までみます。とはいえ、訪問看護だけで生活のすべてをカバーすることはできません。どういう生活リズムなのか、食事は誰が作るのか、何をどれくらい食べているのか。トイレは?お風呂は?洗濯は?体調を整えるためにそこまで見極め、ケアマネージャーを中心に、ケアに関わるチームの全員で情報を共有し利用者さんの生活を支えます。そのハブの役割も担っています。

とりわけチームの要である医師との連携は、在宅ケアのカギとなります。その点、向陽台訪問看護ステーションは、医師との距離も近く、連携が図りやすいのが大きなメリットです。週に一度の多職種カンファレンスのほか、いつでも医師に相談でき、どんな困りごとに対しても真剣に聞いて対応してくれます。

家庭医は、病気はもちろん生活背景までみて、最期まで責任を持って診療してくださいます。利用者さんが薬を飲めない事情があれば、その方がどうすれば薬を飲めるようになるのかを私たちと一緒に考えて、生活リズムにあった薬の処方に変えるなどです。介護するご家族が疲弊して困っているときには、ご家族の疲れを癒やすために利用者さんの入院調整(レスパイトケア)も対応してくれます。

難しい分、やりがいのある仕事。

この春、卒後4年目の看護師が入職しました。珍しいんです、若い方で訪問看護の仕事を希望するのは。それというのも訪問看護師は一人で利用者さんのお宅へ行って処置し、判断しなければならない上、調整も行わなければならず、経験が求められる場面が多いんです。彼女にはプリセプター(先輩看護師)を付けて、技術的な指導とメンタル面で万全のサポートを行いながら、仕事に慣れてもらっています。

さまざまな教育機会を数多く設けているのも私たちの特徴です。クリニックのスタッフや薬剤師と一緒に、医療ケアや新薬などの勉強会を頻繁に行うほか、ラダー別のチェックシートを取り入れ、看護師のレベルアップを図っています。一人ひとりの実践能力の習得段階を評価し、その人の強みや弱みを見つけます。強みはさらに伸ばせるように、弱みは仕事を通して改善できるよう、あえて弱い部分を経験できる利用者さんを担当してもらいます。たとえば「利用者さんの意思決定を支援する力」が弱い看護師には、利用者さんが意思決定をしなければならない場面をあえて経験できるようにします。もちろん組織としてフォローできる態勢をしっかりと整えた上で。できないところは経験してできるようになるまで、じっくりと成長を支援します。

私自身、訪問看護の仕事に就いて8年になりますが、難しい分、やりがいのある仕事だと実感しています。利用者さんと膝を突き合わせ、その人を知り、寄り添って看護することの醍醐味。お看取りの機会も多々あります。様々な形の看取りを経験させていただきました。人生の最期のときを一緒に伴走できるというのは本当に尊くて光栄なことです。自宅でのお看取りの経験は、残されたご家族様にとっても、そこからまた生きていく人生の糧になると感じています。地域の方との絆もそこから生まれているような気がします。

訪問看護を経験すると、看護師としての看護観がきっと変わるでしょう。私自身がそうでした。訪問看護の仕事、たいへんではありますが、楽しいですよ。

プロフィール

鷹巣 香織
管理者・看護師
向陽台訪問看護ステーション

宮崎県出身。
大学病院での10年間の勤務を経て産業看護師等を経験し、2013年より向陽台訪問看護ステーション。

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